歯周病の治療方法は?

歯周病の治療方法一概に治療するというよりは、その段階や進行の程度によって判断・対応が違ってきます。大きくは軽度(歯石・歯垢のスケーリング)、中度(歯周外科手術、再生療法などによる環境の整備)、重度(病巣を取り除く目的での抜歯・インプラント治療)に分けられます。

比較的軽い症状であれば、歯や歯の周りを清潔に保つ治療で治せたり、悪化を防いで状態を維持することが可能です。しかし、炎症が歯肉の奥まで進行し、歯周組織の破壊が顕著な場合には、歯周組織を回復させるための手術(歯周外科手術)や、状況によっては歯周組織再生療法が必要になります。外科的療法については、本数も多い重度の場合などは一度に行うのではなく長期的な観点でご相談させていただきながら、最善な治療の組み合わせによる対応を行います。

歯周基本治療
●スケーリング・ルートプレーニング、ブラッシング指導
軽度歯周炎に対して行う処置です。歯周ポケット内のプラーク(歯垢)や歯石を「スケーラー」という器具を使って取り除きます。最後に歯根面をツルツルに磨き上げ、汚れの再付着を防ぎます。

歯周外科手術
歯周ポケットが5mm以上にまで進行した歯周病の場合、歯周ポケット掻爬術では奥の方の歯石や歯垢が取りきれません。そのため、歯肉(歯ぐき)を切開して歯槽骨から剥離し、露出した歯根のプラークや歯石の除去、歯槽骨の清掃、およびダメージを受けた歯肉などの組織を除去し、歯肉を元の状態に戻します。この手術によって歯周ポケットをなくす、もしくは浅い状態へ改善し、プラークコントロールのし易い状態にすることで、炎症をおこした歯周組織を改善させます。

歯周組織再生療法
●エムドゲイン法
エムドゲイン法は、歯周病に侵された歯周ポケット内部の汚れや細菌を取り除いた後、エムドゲインゲルを注入して歯周組織を再生させる治療法です。現在世界中に普及していて、感染症などの報告がなく安全で治療効果が高いとされています。

●GBR(骨誘導再生)法
歯周病の悪化によって歯槽骨や顎の骨が欠損し、インプラント治療をしたいのに骨の量が足りないといった場合に行われるのがGBR(骨誘導再生)法です。インプラントを埋入する際、骨が足りない部分に自家骨または骨補填剤を入れ、インプラントを支柱にして人工メンブレン(生体材料でできた専用の膜)で覆い、骨を誘導再生させます。骨の再生速度には個人差がありますが、一般的には4~6ヵ月程度で再生されるといわれています。

まとめ
歯周病治療をまとめると、以下に分類することができます。
・健康:メンテナンス
・軽度:スケーリング・ルートプレーニング等の基本治療
・中度:歯周外科・再生治療
・重度:(健全な組織である骨をそれ以上破壊させないようにするために)抜歯対応をしてインプラントや義歯等の対応を考える